Parable of the Polygonsは、個人の小さな選好が集まることで、社会全体に大きな分断が生まれる仕組みを体験できるインタラクティブ記事です。三角形と四角形の住人を動かしながら、各個人が強い偏見を持っていなくても、全体として分離が進む様子を観察できます。
この記事で学べること
- 個人レベルのごくわずかな「好み」が、集団全体では大きな分断を生み出す仕組み
- 「差別的な意図」がなくても「差別的な結果」が生まれてしまうメカニズム
- 一度生まれた分断は、バイアスをゼロに戻すだけでは解消せず、積極的な「多様性の要求」が必要になること
操作ガイド
このExplorableは、段階を追って分断のシミュレーションを体験できる構成になっています。上から順に触ってみてください。
- 手動で住人を動かす: 住人には「近隣の1/3未満しか自分と同じ形でなければ引っ越したい」というルールがあります。不満を持つ住人(枠が光っている図形)を空きマスへドラッグ&ドロップし、全員が満足するまで続けてみましょう。誰も意図していないのに、三角形だけ・四角形だけの地域に分かれていく様子が観察できます。
- 自動シミュレーション: 同じルールを自動で動かし、分断の度合いを折れ線グラフで確認します。何度か実行し直して、毎回同じように分断が進むかどうか見てください。
- バイアスのスライダーを動かす: 「近隣の何%が同じ形であれば満足か」という閾値をスライダーで調整できます。閾値を33%より上げていくと分断がどれだけ強まるか、50%ではどうなるかを比較してみましょう。
- 分断済みの世界でバイアスを下げる: 最初から分断された状態にして閾値を0に近づけてみます。一度できあがった分断は、バイアスをなくすだけではひとりでに解消しないことがわかります。
- 「多様性を求める」バイアスに変える: 「同じ形が90%までなら平気」ではなく、「少しは違う形が混ざっていてほしい」という逆方向の好みを住人に持たせてみます。分断された世界がひとりでに混ざり合っていく様子は必見です。
- 大規模シミュレーションで比較: バイアスと反バイアスの強さを変えながら、規模を大きくした場合の挙動を確認します。
- フレンドシップ・ボックス以降: 最後のミニゲームとサンドボックスでは、これまでのルールを自由に組み合わせて試せます。
理論的背景
このシミュレーションは、ノーベル経済学賞受賞者トーマス・シェリング(Thomas Schelling)が1971年に発表した論文「Dynamic Models of Segregation(分居の動的モデル)」を土台にしています。シェリングは、個人が近隣の同質性について穏やかな好みしか持たない場合でも、集団としては強い分断が生まれることを数理モデルで示しました。
Parable of the Polygonsはこのモデルをさらに一歩進め、「少しの好み」が分断を生むだけでなく、「少しの多様性への要求」が分断を解消しうることも示しています。現実のデータによる検証としては、W.A.V. Clarkの1991年の論文「A Test of the Schelling Segregation Model」も参考になります。
まとめ
- 個人のわずかな偏りが、集団としては大きな偏りを生む
- 一度生まれた分断は、バイアスをゼロに戻すだけでは自然に解消しない
- 身の回りに「もう少し多様性がほしい」と求めることが、分断を解消する現実的な一手になる

